高卒で大手監査法人へ就職・転職する方法
高卒または学歴なしでも大手監査法人に就職・転職できる方法を解説

こんにちは。大手監査法人BIG4出身、高卒で公認会計士になった「高卒公認会計士」です。

私は高卒で大手監査法人へ転職した経験を持ち、さらに大手監査法人でリクルーターも数年経験しています。

その経験を踏まえ、今回は、高卒(学歴なし)で大手監査法人へ就職・転職するにはどうしたらいいのかを検討してみたいと思います。

高卒や学歴にコンプレックスを抱いている方々にとっても参考になれば幸いです。

※本記事の対象者は、公認会計士試験合格者または、監査未経験の若手公認会計士あたりを想定しています。

私の事例を紹介

私の場合、29歳で公認会計士試験に合格しましたが、合格年度では大手監査法人に入ることができませんでした。

翌年度に大手監査法人の定期採用枠で採用が決定しました。

後ほどこの点について触れますが、大手監査法人への就職・転職の難易度は、大手監査法人の人員採用にかかわる景気の状況に大きく左右されます。

私が合格した年度は、公認会計士試験合格者の就職難の余波がまだ続いている状況でしたので、就職難易度は比較的高めの状況でした。

私が公認会計士試験に合格した段階での経歴は、高卒後、大手製造業子会社での製造現場勤務経験1年半ほど、サービス業の経験8年ほどです。

会計まわりの仕事は未経験で、マイクロソフトのオフィス(特にエクセル)についても未経験でした。

その後、実務要件を満たせる一般企業の経理を中心に職探しをしましたが、未経験での採用のハードルは高く、お断りされる状況が続きました。

面談でそこそこいい感じになったところも、私がエクセル等を扱ったことがないという理由でお断りされました。

その後、エクセルを使えないと話にならないと思い、1週間ほどでマイクロソフトのエクセル上級検定(MOS)を取得しました。

ようやく、小規模な会計事務所に勤めることになり 、約1年を経て大手監査法人に転職しています。

大手監査法人に入社するに至っては、小論文試験・一次面接・二次面接がありました。

 

大手監査法人の就職・転職環境について

大手監査法人の採用状況が重要

まず初めに知っておいてもらいたいことは、大手監査法人の人員採用にかかわる景気の状況です。

大手監査法人への就職・転職の難易度は、人員採用の景気の状況、すなわち売り手市場か買い手市場かによって大きく左右されます。したがって、高卒が大手監査法人に就職・転職するには、現在の市場環境がどうなっているかをよく把握しておかなければなりません。

大手監査法人の採用状況は、2006年~2008年頃までは売り手市場、2009年~2013年頃までは買い手市場であり、2014年~2018年までは売り手市場となっています。

2019年以降については、まだ売り手市場が継続すると見込んでいますが、いつ買い手市場へトレンド転換するかは明らかではありません。

売り手市場と買い手市場で異なる採用のハードル

買い手市場の場合、就職・転職の難易度は上がり、売り手市場の場合は、難易度が下がります。

例えば、買い手市場の場合、書類選考、一次選考、一次面接、二次面接と、多くの採用プロセスをクリアしなくてはなりません。

逆に、売り手市場の場合、一次面接のみで終わってしまうこともあります。

それだけ、差があるということです。

私が公認会計士試験に合格した年度では、一次選考として、グループディスカッション・小論文・適正試験などがありました。

これは私がいけなかったのですが、ほぼ何の対策もしていなかったため、ことごとく一次選考で落選してしまいました。

短答式試験合格者採用の有無をチェック

市況を把握するには、公認会計士試験の短答式試験合格者を積極的に採用しているか否か採用サイトを通じて見に行くことが簡単な方法です。

短答式試験合格者を採用している場合、論文式試験の合格者だけでは足りず、短答式試験合格者でもいいから採用したいと思っているのですから、売り手市場と判断することができます。

その他にも、インターネットで情報を集めるという方法や、監査法人に勤めている人に直接聞くという方法などもあると思います。

定期採用・中途採用どちらを目指すか?

定期採用は、公認会計士試験合格者向けの採用

定期採用は、あなたが公認会計士試験合格者であれば、目指してみるべき採用コースといえます。

毎年、11月の公認会計士試験合格発表後、大手監査法人は定期採用をスタートさせます。
定期採用といっても、その年の公認会計士試験合格者のみエントリー可能というわけではなく、過年度の公認会計士試験合格者もエントリーすることができます。

定期採用は、中途採用に比べて、採用枠が大きいのが特徴です。
大量に人員を採用するため、売り手市場においてはスムーズに採用につながるかと思います。

入社時研修の手厚さは定期採用が有利

私のいた大手監査法人では、定期採用と中途採用で比較すると、定期採用の方が圧倒的に入社時研修が手厚かったです。社会人経験のある方からすると、今更感のある研修(名刺交換や挨拶の仕方など)があるのは否めませんが、監査に使うソフトウエアの研修や、基本的な監査手続や監査調書の作成方法などを研修で学べたのがよかったです。

また、入社式などにも出席できるため、新卒入社のような経験もできます。

定期採用は、11月の論文式試験合格発表後から始まる応募にエントリーしないといけないため、時期が限られた就職・転職の方法ともいえます。面談も基本的に指定の日で行うので、現在他社で勤めている方は少々ハードルが高いかもしれません。ただし、中途採用の場合と異なり、毎年エントリーチャンスがある点はメリットです。

中途採用は、経験者向けの採用コース

あなたが、試験合格者で会計や税務、監査業務経験者である場合、中途採用を目指すこともできます。

中途採用は募集中であればすぐにエントリーできるため、11月から始まる定期採用を待つ必要がない点がメリットです。また、面談日程も相談して決定できるため、現在他社に勤めている方には応募しやすい方法といえます。

ただし、私のいた法人では、中途採用の場合、研修自体はありますが、定期採用ほど時間をかけた研修がなく、E-ラーニングで研修を受けたりもします。

公認会計士登録されている方の場合は、定期採用ではなく、中途採用を選択することになります。

学歴なし未経験の場合どう他者と差別化するか

売り手市場と買い手市場で方法を変える

当時これは私が悩んだところです。30歳近くで、高卒・会計関連業務は未経験でしたので、他者と差別化する強いポイントが無いなと思ったのです。

しかし、後でも説明しますが、売り手市場の場合、採用側の視点を知ってみると、高卒で変に負い目を感じる必要はなく、会計関連業務未経験であっても、いままでの自身の経験のなかから、監査業務に役立ちそうなことをピックアップしてアピールすれば、そこそこ勝負できるのではないかと思っています。

買い手市場の場合は、苦戦すること想定されます。基本的に若くて高スペックの人から採用していきますので、何か強い差別化要因がないと戦えないと思います。

公認会計士試験の合格者調をご覧になったことがありますでしょうか?

合格者のほとんどは、20代です。また、大学在学中の合格者と、既卒合格者が半々程度となっています。そして、合格者の職業は学生・専門学校生・無職が多数を占めています。

あなたの年齢によりますが、20代前半であれば、若さで勝負できる部分があるでしょう。しかし、20代後半から30代前半の年齢であれば、他者と差別化するものを持っていないと、採用の土台に乗る事が困難になるのではないかと思います。

買い手市場では、ワンステップ加えて差別化を

私の場合、一旦会計事務所という経歴を加えることで、他の試験合格者との差別化を図りました。前述のとおり、合格者の多数は会計関連の実務は未経験状態といえるからです。

しかし、ここでさらに問題となるのが、高卒が会計実務をどうやって経験するのかという事です。

一般企業の経理業務の場合、経験者が求めらるケースが多かったのです。まれに未経験可能な求人もありましたが、大卒以上を学歴要件とされてしまっていることが結構ありました。
そのため、公認会計士試験合格者であっても、学歴要件で足切りという惨めな思いを度々しました。

それでもなんとか応募して面接にたどり着いたものの、今度はエクセルが使えないという事で、お断りされるケースが生じました。

エクセルは会計士試験に比べれば大して難しいものではなく、少し学習すれば扱えるようになります。

しかし、未経験者でエクセルを扱えると言ったところで客観性が無いと思い、無いよりかはましという気持ちでエクセル上級検定(MOS)を取得しました。

その後、会計事務所へ勤めることになりました。ここでも、最初は報酬を払うほどの仕事は無いと言われました。しかし、無給でもいいから何か手伝わせて欲しいと食い下がり、色々なお手伝いから始めることになりました。

昔で言うカバン持ちみたいなものです。その後、経理部員が不足しているという会社法上の大企業の常駐経理スタッフとして仕事をいただくことになりました。

在籍期間は短かったものの、結構色々経験できました。初めて会計ソフトを触って仕訳入力したり、税務申告書やFSを作ってみたり、株主総会の運営や、取締役会へ出席したり、そのための資料を作ったり、取締役会の議事録を作成したりなどなどです。会計とは関係ありませんでしたが、弁護士等を交えて契約書の作成などもしたりしました。

採用する側からの視点でみると、短期で会計事務所から転職することになりますので、そこでどんな経験を積んだかは気になって質問することになると思います。
私の場合、一度決算期を過ごしていたのが良かったのだと思います。

このように、買い手市場の場合は、会計関連の他の仕事を経由させることで、他者との差別化を図り、大手監査法人へ入り込むという方法を使うことも有効かと思います。

大手監査法人の書類審査のポイントについて

書類審査では年齢が重要

それでは次に、私が大手監査法人の書類審査でよく見ていたポイントについて解説したいと思います。

一番見られるポイントは年齢です。そして、年齢は若い方が有利です。

なぜなら、監査経験がない限りは一番年次の低いスタッフとして採用されるからです。

スタッフの年齢は20代半ば~後半が多数を占めていますので、あまり年齢の高い方を採用してしまうと、年次が上のスタッフが新人を扱いにくくなるという現象が生じます。

採用する側としては、新人が監査チームに馴染むか否かを考えなくてはなりませんので、年齢はよくみるポイントになります。

したがって、例外はありますが、年齢が足きりで書類審査を落とすということは普通にあります。

年齢だけで鑑みると、20代はセーフ、30代前半がギリギリ、30代半ばちょっと厳しい、30代後半は厳しい、40代以降は無理かなというような感じです。
ただし、監査法人の人員採用の景気に左右されるのと、あなたの経験次第というのは言うまでもありません。

例えば、30代半ばでも、公認会計士登録している監査経験に乏しい税理士法人や会計事務所経験者なら、十分勝負できます。

逆に30代半ば、職歴無しみたいな人は問答無用に書類選考で落とします。(これは高卒関係ないですけどね。)

なお、昨今の売り手市場のような場合、40歳近くで採用されているケースもあります。
しかし、金融機関に勤めていたとか、上場会社の経理やってましたというような、監査で役立ちそうな経験を積んでいるような方でないと採用されることは無いと思います。

20代は職歴より人柄重視

売り手市場の場合は、書類選考よりも、面接での人柄を重視して採用していたため、会計や監査関連の業務経験者か否かは、20代であればあまり気にしませんでした。

長期間職歴なしとか、短期間で転職を繰り返している場合は不利になると思います。

売り手市場でも買い手市場でも経理経験ありとか、会計事務所経験ありとかの場合は有利に働くと思います。

ただし、勤めていた実績より、そこで何をしていたのかという経験の実績が重要です。

志望動機は年齢や経験に合わせて

20代前半~半ばの経験乏しい人は、監査にかかわるやりたい事や、やってみたい事などを書くといいと思います。
ただし、注意していただきたいのが、監査法人の基本は、監査業務という認識を持つということです。

結構多いのが、コンサルやりたいです!とかIPOやりたいです!みたいな人なのですが、採用側からすると、「いや、まずは監査からでしょ!」と思っているのが本音です。

監査の基本、内部統制や会社の仕組を理解し、そこそこ土台ができてからのコンサルやIPOです。

ですので、まずは監査を頑張って、コンサルやIPOにステップアップしたいですというような記載の方がわかっているなと感じさせることができます。

20代後半~30代のそこそこ経験のある人は、「今までの経験を活かせる局面」と、それを活かして「やってみたい事」の2つの視点で記載するとよいように思います。

私の場合、会計事務所で一般事業会社に常駐し、経理をやっていましたので、「FSを作成した経験を監査に活かしたい」というような切り口で勝負しました。また、監査に関しては、ほぼ未経験で特定の業務・業種にこだわりはありませんでしたので、「貪欲になんでもやってみたい」というような感じにしました。

他にも「メーカーの経理をしていて、製造業の監査をやりたくなった」とか「銀行に勤めていて金融機関の監査がやりたくなった」みたいな、自分の経験から監査へ直結するような動機を書ける人は、有利に働くと思います。

特定の業種や業務をピンポイントでやってみたいというのは、熱意が伝わりやすいメリットがあります。本当にやりたい事であれば、伝えた方がいいでしょう。

ただし、面談で「なんでやってみたいの?」と絶対に聞きますので、よく研究しておかないと事実誤認した内容を回答することになり、「こいつわかってないな」と思われてしまうので、注意が必要です。

逆に、特定の業種や業務にこだわりがないのなら、素直にその旨を伝えるのがいいです。

大手監査法人のメリットは業種・業務の幅の広さです。

まずは色々な業務を経験してみて、その中から自分がやりたい業務を見つけ、その分野に関して将来的に磨いていきたいと思っているでも十分です。

少し注意したほうがいいと思う志望動機は、他の法人と比較したものです。

例えば、「貴法人は他の法人と比べて〇〇に強いと思っており、、、」というような事を書かれても、「いやそうでもないんじゃない?」と思うことがあったりします。

あなたよりも、法人に勤めている人の方が、圧倒的に法人内部に関する情報を知っていますから、そこは勝負するべきポイントではないのでは?と思います。

公認会計士試験合格者は大学在学中合格か、卒業後専念して数年で合格する人が多数ですので、「ゼミで会計を習っており、その勉強経験を活かしたい」というような動機がよく見るパターンです。

特に減点もなく加点もない動機ですが、敵の多数派はそんな感じと思ってもらえれば結構です。

受験回数は多いと不利だけど場合による

受験回数については、やはり短い方がよく、何回も受験しているとなると、あまりイメージはよくありません。ただし、試験回数が多いから書類で落とすという極端なことはしません。

年齢と職歴などを総合的に鑑みての評価になります。

面談で聞かれる事もあるかと思いますが、受験が長引いた経緯が合理的なものであれば、特段気にすることはないと思います。

例えば、働きながら勉強をしていた等の理由であれば、不利になることはないかと思います。

学歴はほぼ気にしない

高卒だと気にしますよね。

売り手市場では、あなたが思っているほど気にしないです。

私がリクルーターをしていた時は、最終的な決定権を持つパートナー含め、学歴はほとんど意識していませんでした。

全く考慮されないというのは嘘になりますが、思っているほど考慮されないという認識でいいと思います。

その根拠となるかはわかりませんが、大手監査法人の同期には、私以外も高卒の人がいましたし、先輩で高卒の方もいました。

写真はワンコイン以外で

エントリーシートや履歴書の写真は、ワンコインなどのインスタント写真ではなく、履歴書用の写真を専門に撮ってもらうのがいいと思います。写真映えが全然違います。

法人の説明会について

参加者はランク付けされている

法人の説明会についてですが、私のいた法人では、説明会参加者について事後的にランク付けをしていました。

ランク付けの視点としては、一緒に仕事をしたいと思えるか?というものです。

受け答えはハキハキとしっかり行うと好印象です。すごく基本的な事ですが、できている人とできていない人の差が激しいように思いました。

説明会では、業務の内容について聞くことも重要だとは思いますが、将来のキャリアについて話を聞くことも有益だと思います。

できれば、年次の浅いスタッフより、5年程度の経験を積んだスタッフ、10年程度の経験を積んだマネージャー、それ以上の経験を積んだパートナーと、多角的に話を聞いてみるといいです。

年次の浅いスタッフはキャリアについて語れるほどの経験を有している人は少ないため、あまり参考にはならないと思います。

私が質問するなら、これまでどんな業務を行ったか、今どんな業務をしているか、今後どんな業務をしたいかの3点です。

例えば、5年程度の経験を積んでいるスタッフであれば、5年間で行った業務内容をあなたが経験することができるかもしれないという指標になります。

今行っている業務については、5年後にあなたが行うかもしれない業務の内容を知る指標になります。

今後行いたい業務については、自分にそれが共感できる将来か否かを判断する指標にします。

小論文選考について

誤字・脱字に注意!理路整然と

小論文選考については、私のいた法人では、主に減点方式を用いていました。

誤字・脱字の有無のチェック、また、理路整然としている文章であるかをチェックしていました。

文字数が少なすぎてもよくありませんので、基準となる文字数に達するように頑張って書きましょう。

面接について

身だしなみが第一

まずは、身だしなみに気を付けるといいと思います。

面接の前に、髪を切っておく、爪が伸びていない、靴を磨いておく、スーツによれが無いようにクリーニングしておく、男性ならネクタイが曲がっていないかチェックするなどです。

20代前半から半ば位なら、リクルートスーツもありですが、20代後半から30代位なら、普段着ているようなスーツでも大丈夫だと思います。

見られるのはコミュニケーション能力

面談は、監査チームの一員として、他の監査メンバーと協力しあって仕事ができるか?クライアントに対して、適切な質問や受け答えなどのコミュニケーションができるか?というような視点で実施します。

基本的にエントリーシートや、履歴書・職務経歴書をもとに質問をしていく感じです。

ですので、エントリーシートに記載されている内容について質問がきたら、スムーズに回答できるようにしておくといいです。

また、内容について少し深堀りして聞くこともありますので、答えに窮しないようにシミュレーションしておきましょう。

例えば、何で転職しようと思ったの?何でうちの法人にしたの?うちの法人に入ったらどんな事ができる?どんな仕事がしたい?というような王道的な質問もしますし、仕事が間に合いそうにないならどうする?仕事をミスしないうえで何が重要だと思う?というような、ちょっと捻った質問をすることもあります。

後者のような質問は、自ら考えて結論(自論)を展開できるかを判断していると思って下さい。

あとは、面接時は堂々と、自信をもって挑むといいです。

まとめ

私が高卒で大手監査法人に応募するにあたり苦労した点は、他人との差別化でした。

公認会計士試験合格年度の面接は、高卒という負い目、30歳近い年齢にかかわらず、会計関連の業務は未経験というところに自信のなさが出ていたと思います。

私の場合、結果的に会計事務所を一度経由することで、ステップアップという形で大手監査法人に入れることができました。

このようなステップを踏む手法は有効であると私は思っています。

以上、長くなりましたが、あなたが大手監査法人を目指す上で参考になれば幸いです。

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