公認会計士が独立する際に、なるべく早めに着手しておくべきものを実体験からまとめてみました。
私の場合、税理士登録して税務業務を行うことを決めていましたので、税務業務を行うことを前提とした記載になっています。
開業準備として早めに着手しておくべきもの
- 税理士登録申請
- ホームページの作成
- 認定経営革新等支援機関の登録申請
税理士登録について
税理士登録は、申請から登録まで3か月ほど要します。
税理士登録が完了するまでは、税理士を名乗ることができないというのは当然な話です。
しかし、一番影響があるのは、税務にかかわる営業活動ができないということです。
公認会計士が税務業務を行おうと思った場合、税理士登録申請はすぐに着手した方がいいです。
3か月間は税務の受注は確実にできません。
税理士業務以外からの収入が一切ない場合、最低3か月分は収入が確保できないということになります。
独立を決めたら即登録手続を行いましょう。
ホームページの作成
独立した場合、営業活動をどのように行うかが問題となります。
基本的に独立した方はホームページを作成する方が多いと思います。
新規受注をホームページから確保することを見込んだ場合、ホームページ作成はすぐにとりかかった方がいいと思います。
戦略的なホームページを作成する場合、それなりの作成期間がかかると考えた方がいいです。
自作か、外注かでスピード感が異なると思われますので、具体的にどれ位の期間がかかるかは明言できませんが、私の場合自作で2か月~3か月程度を要しています。
基本的に、ホームページで時間がかかる部分は、ホームページに記載する中身(文章)を考えることです。
ホームページ作成で時間がかかるもの
特に私が時間を要した部分を挙げてみます。
プロフィール作成
プロフィール作成の目的は、この人に仕事を依頼したいと思わせることです。
そのためには、単に経歴を記載しただけのプロフィールでは足りないことが多いです。
・他の税理士と何が違うのか?
・顧客は私に仕事を依頼するとどうなるのか?
・その裏付けは何なのか?
など、顧客が私を選んでくれるためのプロフィールを考える必要があります。
競合となる税理士と強みがかぶっている場合は、明確に勝てる部分があるか、無いなら他の視点で強みを出す必要があったりします。
もちろん他の税理士のプロフィールを研究する必要もあります。
プロフィール写真はプロに頼んで撮ってもらいました。
自撮りしたプロフィール写真を掲載している税理士のホームページもありますが、税理士の場合、商品は自分自身です。
例えばですが、飲食店のホームページを作成する場合(広告も同様)、商品となる料理の写真を自撮りして掲載するでしょうか?
私ならプロに頼んで美味しそうに見える写真を撮ってもらいます。
同様に、自分の事務所のプロフィール写真もプロに頼んで綺麗に撮ってもらう方がいいと私は考えます。(写真は撮影から1週間程度で入手できます。)
商品設計
これも頭を悩ませます。
主たる商品は税務顧問契約となるのですが、サービスの提供方法と料金を設定する必要があります。
サービスの提供方法は、顧客訪問型(顧客へ訪問するタイプ)、事務所訪問型(顧客に事務所へ来てもらうタイプ)、Web通信型(電話・メール・ITツールを使ってサービス提供するタイプ)の3つに区分できますが、サービスの提供方法とその価格を決定する必要があります。
また、税務顧問契約は、通常、高額なバックエンド商品(本命商品)であるため、顧問契約へつなげるために集客用のフロントエンド商品を開発する必要性も考慮したりします。(ツーステップマーケティング)
税務顧問契約をする人は、新規に税理士を頼む人か、税理士を変更する人しかいません。
したがって、新規に税理士を頼む人はどのような人なのか、税理士を変更しようとする人はなぜ変更しようと思っているのかを考える必要があります。
新規に税理士を頼もうと思う人を取り込むためのフロントエンド商品として多いと感じるのは、会社設立にかかわるものです。
会社設立の手数料を無料にして顧問契約へつなげるという手法です。
しかし、競合が多いため、自分の事務所が選ばれるための工夫が必要です。
その他によく見るのが、新規創業者は顧問料を割引するという手法です。
税理士変更の場合も、契約初年度に割引を行うという手法を用いている事務所があったりします。
開業する地域によって競合の状況が異なりますので、競合リサーチにも時間を要します。
商品設計と同時に、ホームページ作成はSEOについても考慮する必要があります。
SEOについて
ここで少しSEOについてお話させていただきます。
あなたがホームページを閲覧する際、どうやってそのホームページを見つけたでしょうか?
Googleなどの検索エンジンで検索し、検索結果にもとづいてそのホームページを見つけたのではないでしょうか。
SEOは、検索エンジンで検索されたキーワードに対して、あなたのホームページが上位に表示されるように意図する手法です。
したがって、商品設計とともに、検索キーワードを設定し、検索エンジンで上位表示されるようにする必要があります。
ホームページを作っても、アクセスがなければ商品は売れません。したがって、アクセスを集めるためにSEO対策が必要となります。
検索エンジンで表示されるためには、ホームページ公開から数か月かかると言われていますので、ホームページ作成期間+検索エンジンで表示されるまでの期間を見込む必要があります。
事務所の売り(強み)
私の場合、ホームページの目的は、「見込み客に問い合わせしてもらうこと」ですが、自分の事務所を選んで問い合わせしてもらうには、顧客に対してメリットを伝える必要があります。
すなわち、それが事務所の売り(強み)です。
したがって、自分の事務所が顧客に対して提供するメリットを洗い出し、強調する必要があります。
プロフィール作成と似たような感じになりますが、事務所の強みがないと選ばれることが難しいと思います。
私がホームページを作成する際、他税理士事務所のホームページを100以上は見たと思います。
自分が顧客だったら、この事務所を選ぶという視点でみると、その税理士事務所が顧客に対して提供するメリットを明確に記載している事務所が多かったです。
すごくわかりやすいと思ったのが、業種や業務特化型です。
飲食業に強いとか、不動産業に強いなどの業種特化、ベンチャー企業専門とか相続専門とか業務内容に特化している事務所は対象とする顧客が明確に絞れていていいなぁと思いました。
商品設計と自分の事務所の強みが互いにリンクしている方がいいと思います。
以上、ホームページ作成において時間がかかりそうなところを挙げてみました。
ホームページの中身を考えて、セールスレターに落とし込むだけでもかなり試行錯誤が必要かと思います。
ホームページは作成までの期間+検索エンジンで表示されるまでの期間が必要です。したがって、ホームページは早めに準備しておくといいです。
認定経営革新等支援機関の登録
認定経営革新等支援機関(以下、認定支援機関)は、中小企業や小規模事業者が安心して経営について相談ができることを国が認定した支援機関です。
認定支援機関になることで、対外的な信用力の強化や、顧客が融資を受ける際、金利の優遇措置や、保証料の減額などを受けることができるようになります。
2か月に一度認定が行われていますが、申請書の締め切り後、認定まで最長で3か月時間を要しますので、実質3か月をみておいた方がいいと思います。
特に、創業融資をフロントエンド商品として設計する場合は、他の事務所では当然認定支援機関となっていますので、遅れをとらないために必要と思います。
以上、独立する際、早めに着手すべきものでした。
ご参考になれば幸いです。